- ワイパー & ウォッシャーシステムを制御するウインドシールドワイパーコンピューターは,双方向ボデー多重通信システム[BEAN]により,コンビネーションスイッチコンピューターおよびエンジンコントロールコンピューターなどと接続されており,通信線を用いて,ワイパー & ウォッシャーシステムの制御に必要な信号を送受信することにより,車両状態に応じた車速切り替え機能などの制御を行います。なお,双方向ボデー多重通信システムの詳細は,ボデーセクションを参照してください。(参照先 ボデー多重通信システム−構造と作動
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- 多重通信信号を入力することにより,車両の走行状態に合わせてワイパーの作動状態を自動的に切り替える機能(車速切り替え機能)などを備えた,ウォッシャー連動車速感応時間調整間欠ワイパーを採用しました。
- 車速感応時間調整間欠機能
- ワイパーコントロールスイッチをINT位置に操作することにより,ワイパーは車速に応じて間欠作動を行います。間欠時間調整ボリュームを操作することにより,間欠休止時間を約1.5秒〜約12.5秒の間で調整可能とし,走行中の車速に応じて3段階に間欠時間調整可能範囲を変化させます。
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- 車速切り替え機能
- 車速切り替え機能として,停車中においてワイパーLO作動を自動的に間欠作動に切り替える,停車中間欠作動を採用しました。これにより,比較的雨量の少ない場合などにスイッチ操作を行うことなく,走行・停車に応じて適切なワイパー作動を行うものとしました。なお,カスタマイズ機能により,車速切り替え機能なしも選択できるものとしました。
- 停車中間欠機能
- 停車時にワイパーコントロールスイッチをLO以外からLOに操作した場合,ワイパーは3回LO作動した後,自動的に間欠休止時間約2.5秒の間欠作動に切り替わります。また,ワイパーコントロールスイッチLO位置で走行→停車した場合も同様に,ワイパーは3回LO作動した後,間欠休止時間約2.5秒の間欠作動に切り替わります。なお,間欠作動中に車両を発進させると,自動的にLO作動に復帰します。また,間欠時間調整ボリュームをFAST位置に操作することにより,停車中にもワイパーはLO作動します。
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- 液だれ防止機構付きウォッシャー連動機能
- ワイパーコントロールスイッチがOFF位置またはINT位置の場合に,ウォッシャースイッチを約0.2秒以上ONすると,ウォッシャー液が噴出すると同時に,ワイパーが連続してLO作動を開始(約40秒以内)し,ウォッシャースイッチをOFFした後,3回LO作動します。(ウォッシャー連動機能)また,ウォッシャー連動作動終了後は,下表(作動遅延時間一覧)のように,車速に合わせた作動遅延時間経過後に,再びワイパーを1回作動させてウォッシャー液の液だれを払拭します。(液だれ防止機能)なお,DLC3にS2000(サービスツール)を接続し,操作することによって液だれ防止機能なしも選択できるものとしました。(カスタマイズ機能)
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作動遅延時間一覧
車 速
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作動遅延時間
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0〜59km/h
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約3秒
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60〜79km/h
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約5秒
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80〜119km/h
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約7秒
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120〜159km/h
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約5秒
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160〜169km/h
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約3秒
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170km/h以上
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なし(液だれ防止作動キャンセル)
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- フェイルセーフ機能
- ウインドシールドワイパーコンピューターおよびコンビネーションスイッチコンピューターは,ワイパーコントロールスイッチ・間欠時間調整ボリューム・双方向ボデー多重通信システム[BEAN]に異常が発生した場合でも,以下のようにワイパー制御を行うことのできるフェイルセーフ機能を備えています。
- 間欠時間調整ボリューム異常発生時
- 間欠作動時の間欠休止時間を強制的に約4秒に固定します。また,車速切り替え作動(停車路LO→INT)を行いません。なお,その他の作動は通常時と同様です。
- 車速信号異常発生時
- 車速切り替え作動(停車時LO→INT)を行いません。また,間欠作動時の間欠休止時間を強制的に約4秒に固定します。
- ワイパーモーター作動信号異常発生時
- ワイパー作動信号が約20秒間以上入力されない場合は,ワイパーモーターへの通電を停止します。
- 双方向ボデー多重通信システム[BEAN]異常発生時
- ボデー多重通信システム関係に異常が発生すると,ウインドシールドワイパーコンピューターは,多重通信によるワイパー作動要求信号などを入力できなくなりますが,ワイパーコントロールスイッチからのワイパー ON信号(ワイパーコントロールスイッチ HI位置)を直接入力することにより,ワイパーモーターをHI作動させます。なお,ワイパー作動中にボデー多重通信システム関係に異常が発生した場合は,イグニッションスイッチがOFFされるまで現在の作動状態を保持します。
- 作動
- ウォッシャー連動車速感応時間調整間欠ワイパー
- ウインドシールドワイパーコンピューターは,コンビネーションスイッチコンピューターから出力されるワイパーコントロールスイッチのスイッチ位置信号(OFF・INT・LO・HI)・間欠時間調整ボリューム位置信号・ウォッシャースイッチ信号を多重通信線を介して入力しています。これにより,ウインドシールドワイパーコンピューターは,コンビネーションメーターコンピューターから多重通信線を介して入力する車速信号などをもとに,内蔵のワイパーコントロールリレー(LO・HI)およびウォッシャーリレーのON/OFFを行います。また,多重通信システム異常の場合も,コンビネーションスイッチコンピューターとウインドシールドワイパーコンピューター間の専用線を用いてワイパーモーターをHI作動(ワイパーコントロールスイッチ HI位置のみ)させることができます。なお,回路図は,ワイパー & ウォッシャーシステムを参照してください。(参照先 ワイパー & ウォッシャーシステム)
- 構造
- フルコンシールド/セミコンシールド切り替え機能
- フルコンシールド/セミコンシールドの切り替えは,ワイパー自動停止状態で左右いずれかのワイパーアームをウインドシールドガラスに沿って回転方向に手で動かして行います。フルコンシールド状態からワイパーアームとワイパーブレードとの締結部付近のワイパーアームを手でつかみ,引き上げるとセミコンシールドに切り替わり,セミコンシールド状態から締結部を手のひらで下に押し込むとフルコンシールドに切り替わります。(ワイパーブレードをつかんで操作するとワイパーブレードが変形するおそれがあるため,必ずワイパーアームをつかんで操作して下さい)なお,ウインターブレード装着時には,必ずセミコンシールド状態にして下さい。
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- ロックバック式ワイパーアーム
- フロントワイパーをロックバックさせる場合,前記の要領にしたがって,セミコンシールド状態に切り替えた後,図のように矢印の方向へロックバックさせます。
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- 構造
- 運転席側および助手席側ワイパーアームのヘッド部を,ウインドシールドガラスに対してねじり角度をつけたものとすることにより,走行時の気流によってアームに加わる力を分散させています。これにより,分散した力の一部がウインドシールドガラス方向に働くことで,ブレードが浮き上がりにくいものとしました。
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- 構造
- レバーとバッキングプレートとの間にラバーが入る構造として金属同士の接触をなくすとともに,ブレードラバー表面にグラファイトコーティングを施し,ブレード反転時の衝撃音の低減およびブレードラバーの長寿命化をはかりました。
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