- シリンダーヘッドカバーは軽量なアルミ合金製を採用し,シリンダーヘッドへの取り付けは11本のボルトで外周部を直接取り付ける構造としました。また,インテークカムシャフト側にPCVバルブを設けました。
- シリンダーヘッドカバーガスケットはシール性に優れたゴムリングタイプを採用しました。
- シリンダーヘッドは軽量・高剛性なアルミ合金製を採用しました。インテークポートをストレート形状とし,吸気抵抗の低減および動的効果の向上をはかりました。また,VVT-iコントローラーを内装することにより構造の簡素化をはかりました。
- インテークおよびエキゾースト一体型のカムキャップ1にVVT-i用OCV(オイルコントロールバルブ)およびOCV用オイルフィルターを取り付けました。
- シリンダーヘッドガスケットは3層構造のメタルタイプを採用し,シール性を確保しました。ボア面を折り返し構造とすることにより高出力化に対応しました。
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- シリンダーヘッド
- 燃焼室形状をコンパクトなペントルーフ型とし,燃焼の高効率化をはかるためにバルブ挟角を小さなレイアウトとしました。
- シリンダーヘッド底面とピストン頂面で形成されるスキッシュエリアを斜めにする,斜めスキッシュ構造の燃焼室を採用しました。吸気効率と火炎伝播速度を改善することにより,燃焼効率の向上をはかりました。
- スパークプラグ廻りを薄肉化して冷却性を向上し,耐ノック性を確保しました。
- ポート形状は効率のよいクロスフローとしました。インテークポートを大きく立てるとともにストレートポートとすることにより,吸気の動的効果を高める形状としました。
- VVT-iシステムの採用に伴い,エキゾースト1ジャーナルにVVT-iコントローラー制御用オイル通路を設けました。
- インテークマニホールドを斜め上から取り付ける形状としました。
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- シリンダーブロックは高剛性な鋳鉄製を採用しました。
- シリンダーブロック左側面にVVT-iコントローラー制御油圧供給用のオイル通路を設けました。オイルポンプからの油圧はオイルパイプを通り,カムキャップ1に設けられたVVT-i用OCVへ供給されます。
- オイルパンは制振鋼板製を採用しバッフルプレートを設けました。また,シリンダーブロックとの接合面にはシール性に優れたFIPG(液体ガスケット)を採用しました。4WD車用は,アッパー側オイルパンをアルミ合金製にするとともに,フロントデフ取り付け用ボスおよびフロントドライブシャフト貫通穴を取り付けました。
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シリンダーブロック仕様
全 長 [mm]
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548.77
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全 幅 [mm]
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358.0
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全 高 [mm]
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245.0
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ボア径 [mm]
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75.0
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ボア中心間距離 [mm]
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85.5
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- 高出力化に伴い,耐屈曲性に優れたアラミド繊維芯線のタイミングベルトを採用し,耐久性を確保しました。
- アイドラプーリー一体型オートテンショナーを採用し,小型・軽量化をはかりました。また,タイミングベルトカバー1にサービスホールを設けメンテナンス性に配慮しました。
- タイミングベルトカバーガスケットを設け,騒音の低減をはかりました。
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プーリー仕様
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歯 数
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プーリー径 [mm]
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クランクシャフトタイミングプーリー
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25
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62.29
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カムシャフトタイミングプーリー
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50
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125.952
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オイルポンププーリー
|
25
|
62.29
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アイドラプーリー一体型オートテンショナー
|
−
|
65.0
|
アイドラプーリー2
|
−
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57.6
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タイミングベルト仕様
長 さ [mm]
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1032.2
|
幅 [mm]
|
27.0
|
歯 数
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129
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- アイドラプーリー一体型オートテンショナー
- アイドラプーリーと油圧式オートテンショナーは同軸に組み合わされ,タイミングベルトケース取り付けられます。
- オートテンショナーはスリーブボルトによりタイミングベルトケースに固定され,アイドラプーリーはフローティング状態となっています。
- アイドラプーリー裏面のピンをオートテンショナーのピストンが押し上げ,タイミングベルトに張力をかけます。また,アイドラプーリー内蔵のスプリングとオートテンショナー表面のピンが組み合わさり,ベルト張力を一定に保つとともに機構全体の細かな振動を吸収します。
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- カムシャフトタイミングプーリー
- VVT-iコントローラーを包み込む形状により高剛性化をはかりました。また,セットボルトを塑性域締結とし,微テーパーワッシャを採用してボルト締結力を確保しました。
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- 運転状態に応じて最適なバルブタイミングに制御するVVT-i(VariableValve Timing-intelligent:連続可変バルブタイミング機構)を採用しました。VVT-iコントローラーはエキゾーストカムシャフトに取り付けられており,シザースギヤを介してインテークカムシャフトの位相を連続して可変させます。
- インテーク・エキゾーストバルブともに高強度な耐熱鋼製を採用し,ステム部に軟窒化処理を施しました。また,バルブフェースを大径化し,ステム径を縮小することにより,吸排気効率の向上およびフリクションロスの低減による高出力化と軽量化をはかりました。
- バルブリフターはクロムモリブデン鋼を採用しました。また,高リフト化に対応し,有効作用面積の大きいシムレスタイプを採用しました。
- バルブスプリングは窒化処理を施したシリコンクロム鋼オイルテンパ線を採用しました。低過重のバルブスプリングを採用することにより,フリクションロスの低減をはかりました。
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バルブ仕様
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インテーク
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エキゾースト
|
全 長 [mm]
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91.75
|
91.59
|
かさ部径 [mm]
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29.5
|
25.0
|
ステム径 [mm]
|
5.0
|
←
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バルブリフター仕様
全 高 [mm]
|
25.3
|
外 径 [mm]
|
31.0
|
バルブスプリング仕様
コイル内径 [mm]
|
16.2
|
線 径 [mm]
|
2.8
|
自由長 [mm]
|
47.3
|
- カムシャフト
- インテーク・エキゾーストともに高強度な合金鋳鉄製を採用し,ノーズ部にはチル処理を施して耐摩耗性を確保しました。
- 高リフトタイプを採用し,吸気効率の向上による高出力化をはかりました。
- インテークカムシャフト後端部にカムポジションセンサー用のタイミングローターを設けました。
-
仕 様
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インテーク
|
エキゾースト
|
バルブリフト量 [mm]
|
9.6
|
9.0
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カムフェイス幅 [mm]
|
9.75
|
←
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ジャーナル径 [mm]
|
27.0
|
←
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- VVT-i(Variable Valve Timing-intelligent:連続可変バルブタイミング機構)
- VVT-iを採用し,エンジンの高出力化と低燃費・低エミッション化との両立をはかりました。
- エンジンコントロールコンピューターは,カムキャップ1のOCVに信号を送ることにより,オイルポンプ発生油圧をVVT-iコントローラーの進角室もしくは遅角室に振り分け,運転状態に応じてインテークカムシャフトの位相を最適に制御します。
- エンジン停止時は最遅角位置で作動を停止し,ストッパーピンで固定されます。
- カムポジションセンサーからの信号により,実バルブタイミングを検出し,目標バルブタイミングとなるようにフィードバック制御を行っています。
-
- 構 造
- OCV(オイルコントロールバルブ)
- カムキャップ1にVVT-i用のOCVを設けました。エンジンコントロールコンピューターからのデューティー信号により,常に最適なバルブタイミングとなるようにスプール弁の位置を制御します。なお,停止時はスプリングにより最遅角状態で作動を停止します。
-
- VVT-iコントローラー
- 駆動時のフリクションが低く,高効率なベーンタイプのVVT-iコントローラーを採用しました。
- エキゾーストカムシャフトに固定されたベーン部と,シザースギヤを介してインテークカムシャフトを駆動するハウジング部で構成されます。
- エキゾーストカムシャフトに設けられたオイル通路から送り込まれた油圧が進角室もしくは遅角室に作用し,ハウジング部を円周方向に回転させ,シザースギヤを介してインテークカムシャフトの位相を連続して可変させます。
- VVT-iコントローラーの作動油圧は,シリンダーブロックからVVT-i用オイルパイプで供給されます。また,オイルパイプ上部のユニオンにOCV用のオイルフィルターを内蔵しました。
-
- 作動概要
- 運転状態に応じて下図のように,進角・遅角および保持状態を制御します。
-
- 効 果
- インテークバルブの進角・遅角により下記のような効果が得られます。
-
- ピストンは高温強度の高いアルミ合金製を採用しました。
- コネクティングロッドは,高剛性なバナジウム鋼製を採用しました。骨格形状を最適化することにより軽量化しつつ強度を上げ,高出力化に対応するとともに振動・騒音の低減をはかりました。なお,大端部にピストン冷却および潤滑用のオイルジェットを設けました。
- クランクシャフトは鍛造製の7ジャーナル12バランスウェイト型を採用しました。アーム形状の最適化,クランクピン,およびジャーナル部の高周波焼き入れ処理などにより高い剛性を確保し,振動・騒音の低減をはかりました。
- クランクシャフトタイミングプーリーと一体型のクランクポジションセンサー用タイミングローターを採用し,構造の簡素化と軽量化をはかりました。
-
コネクティングロッド仕様
材 質
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バナジウム鋼
|
大端部内径 [mm]
|
47.0
|
小端部内径 [mm]
|
20.0
|
大小端部中心間距離 [mm]
|
122.5
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クランクシャフト仕様
ジャーナル径 [mm]
|
55
|
クランクピン径 [mm]
|
44
|
クランクピンストローク半径 [mm]
|
37.5
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- ピストン・ピストンピン・ピストンリング
- ピストンの頂部を斜めスキッシュ構造とし,燃焼効率の向上による低中速トルクの向上および耐ノッッキング性の確保をはかりました。
- ショートスカートタイプを採用しスカート部に低μ樹脂コーティングを施すことにより,フリクションロスの低減をはかりました。
- ピン径が太く全長の短いピストンピンを採用し,高負荷への対応と軽量化を両立しました。
- ピストンリング張力の最適化により,フリクションロスと燃料の機械損失を低減して燃費の向上をはかりました。
-
ピストン仕様
材 質
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アルミ合金
|
基本径 [mm]
|
74.93
|
コンプレッションハイト [mm]
|
30.0
|
ピン穴オフセット [mm]
|
0.8
|
ピストンピン仕様
材 質
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クロム鋼
|
外 径 [mm]
|
20.0
|
内 径 [mm]
|
12.0
|
長 さ [mm]
|
56.0
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ピストンリング仕様
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コンプレッションリングNo.1
|
コンプレッションリングNo.2
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オイルリング
|
材 質
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シリコンクロム鋼
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鋳 鉄
|
ステンレス
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形 状 [mm]
|
バレルフェース
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テーパー + アンダーカット
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組み合わせ
|
幅 [mm]
|
1.2
|
←
|
3.0
|
厚 さ [mm]
|
2.5
|
2.8
|
2.8
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表面処理
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クロムメッキ
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フェロックスコーティング
|
クロムメッキ
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- エンジンマウンティング
- フロントエンジンマウンティングブラケットは,2WD車の左右および4WD車の右側にアルミ合金製のブラケットを採用して軽量化をはかるとともに,液体封入式マウンティングにより全使用域にわたって振動・騒音の低減をはかりました。
- 2WD車のリヤエンジンマウンティングは,大型ラバーを採用し,振動・騒音の低減をはかりました。
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- 補機レイアウト
- オルタネーター,パワーステアリングポンプおよびエアコンコンプレッサーは各々Vリブドベルトを介し,クランクシャフトにより直接駆動されます。
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プーリー径
クランクシャフトプーリー [mm]
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135
|
オルタネータープーリー [mm]
|
52.5
|
ウォーターポンププーリー [mm]
|
112
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パワーステアリングプーリー [mm]
|
130
|
エアコンプーリー [mm]
|
120
|
エアコン用アイドラプーリー [mm]
|
70
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- ブローバイガス還元装置
- エンジン内部のブローバイガスを強制的に吸気系に導入し再燃焼するブローバイガス還元装置を採用しました。シリンダーヘッドカバーにPCVバルブを設け,運転状態に応じたブローバイガス還元量にすることによりオイル持ち去り量の低減・アイドリング回転の低回転化をはかりました。
- 低負荷時はPCV側ブローバイ通路から還元し,エアクリーナーケース背面に設けられたスロットルボデー上流側通路からは新気をエンジン内部に導入します。また,高負荷時は,PCV側通路と合わせてスロットルボデー上流側通路からも還元します。
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