構造と作動

電気式ドアロックシステム

電気式ドアロックシステム構成

  1. 構成部品
  2. 電気式ドアロックシステム主要構成部品機能一覧
    構成部品
    主要機能
    運転席ドアロックASSY
    • 内蔵した運転席ドアロックモーターの正転/逆転により,運転席ドアをロック/アンロック。
    • 内蔵した運転席ドアロックポジションスイッチにより,運転席ドアのロック/アンロック状態(ロック:OFF,アンロック:ON)をMPXマスタースイッチへ出力。
    • 内蔵したドアロックコントロールスイッチ(キー連動用)の状態を検出し,MPXマスタースイッチへ出力。〔ドアキー連動ロック & アンロック機能〕
    各席ドアロックASSY
    • 内蔵した各席ドアロックモーターの正転/逆転により,各席ドアをロック/アンロック。
    • 内蔵した各席ドアロックポジションスイッチにより,各席ドアのロック/アンロック状態(ロック:OFF,アンロック:ON)をMPXボデーコンピューターへ出力。
    MPXボデーコンピューター
    • ボデー多重通信のデーターなどを用いて車両の状態を検知し,内蔵のリレーにより全席ドアロックモーターを駆動。
    MPXマスタースイッチ
    • 各ドアロックコントロールスイッチおよび運転席ポジションスイッチの状態を検知し,単方向多重通信によりMPXボデーコンピューターへ送信。
    キーアンロックウォーニングスイッチ
    • イグニッションキーシリンダーに,キープレートの有無状態(あり:ON,なし:OFF)を検出し,MPXボデーコンピューターへ出力。〔キー閉じ込み防止機能など〕
    イグニッションスイッチ
    • イグニッションスイッチの状態(ON/OFF)を検出し,MPXボデーコンピューターなどに入力。〔各機能作動条件〕
    メーターコンピューター
    • スキッドコントロールコンピューター(A/T車)またはスピードセンサー(M/T車)からの車速パルス信号に基づいて車速を算出し,双方向ボデー多重通信によりMPXボデーコンピューターへ送信。〔車速感応オートロック機能〕
    スキッドコントロールコンピューター
    • 各車輪速センサーからの車輪速パルスを平均化し,車速パルス信号としてメーターコンピューターへ出力。(A/T車)〔車速感応オートロック機能〕
    各車輪速センサー
    • 各車輪の回転速度を検出し,スキッドコントロールコンピューターへ出力。〔車速感応オートロック機能〕
    センターエアバッグセンサーASSY
    • 各エアバッグセンサーからの信号および内蔵の衝撃検知センサーで車両に加わった衝撃を検知し,双方向ボデー多重通信によりMPXボデーコンピューターへ送信。〔衝撃感知ドアロック解除機能〕
    各エアバッグセンサー
    • 衝撃を検知し,センターエアバッグセンサーASSYへ出力。〔衝撃感知ドアロック解除機能〕
    運転席ドアカーテシランプスイッチ
    • 運転席ドアの開閉状態(ドア開:ON,ドア閉:OFF)を検出し,MPXボデーコンピューターへ出力。〔キー閉じ込み防止機能など〕
    エンジンコントロールコンピューター
    • ニュートラルスタートスイッチ信号を入力し,双方向ボデー多重通信によりシフトポジション信号をMPXボデーコンピューターへ送信。〔シフト連動オートロック/アンロック機能〕
    ニュートラルスタートスイッチ
    • シフトポジションを検出し,エンジンコントロールコンピューターへ出力。〔シフト連動オートロック/アンロック機能〕

電気式ドアロックシステム機能

  1. マニュアルロック & アンロック機能
    1. ドアロックコントロールスイッチ(マニュアル作動用)をロックまたはアンロック側に操作することにより,全席ドア連動でロックまたはアンロックします。

  2. ドアキー連動ロック & アンロック機能
    1. 運転席ドアキーシリンダーにキープレートを差し込み,車両前側または後ろ側に回すことにより,全席ドア連動でロックまたはアンロックします。

  3. キー閉じ込み防止機能
    1. イグニッションキーシリンダーにキープレートが差し込まれていて,運転席ドアが開いているときは,ドアロックコントロールスイッチ(マニュアル作動用またはキー連動用)およびドアロックノブによるロックを成立させない制御により,キーの車内閉じ込みを防止します。

  4. 車速感応オートロック機能(カスタマイズ機能対応)
    1. イグニッションスイッチ ONかつ,いずれかのドアがアンロック状態で車速が約20km/hを越えると,自動的に全席ドアをロックします。また,オートロックが働いてもロックされないドアがある場合は,再度ロック作動を行います。
    2. 全席ドアロックされた後,いずれかのドアがアンロックした場合には,再度オートロック機能が働きます。
    3. オートロック車速以上では,マニュアルアンロック・ドアキー連動アンロック・キー閉じ込み防止機能によるアンロックを禁止します。

  5. 衝撃感知ドアロック解除機能
    1. 車両衝突時に全席ドアのドアロックを自動的に解除(アンロック)し,万一の際の脱出や救助作業を容易にします。

  6. ドアロックセキュリティー機能(カスタマイズ機能対応)
    1. マルチファンクションリモートコントロール(オートロックを含む)などによるロック作動を行うと,ドアロックセキュリティー機能がセットされ,ドアロックコントロールスイッチ(マニュアル作動用)によるアンロック作動を禁止します。
    2. □ 参 考 □
      * : ドアガラスの閉め忘れ時など,ドアサッシュとドアガラスのすき間から棒などでドアロックコントロールスイッチ(マニュアル作動用)を操作して,ドアをアンロックされるのを防止します。

      ドアロックセキュリティーセット条件
      • 運転席ドアキー連動ロック。
      • 運転席ドアをキーレスロック(室内ドアロックノブでロックし,ドアを閉める)操作によりロック。(ただし,0.25秒後に,運転席ドアがロック状態かつドア閉の時のみセット)
      • マルチファンクションリモートコントロールシステム(30秒オートロック機能を含む)によりロック。
      ドアロックセキュリティーキャンセル条件
      • イグニッションスイッチ OFF→ON。
      • 運転席ドアキー連動アンロック。
      • マルチファンクションリモートコントロールシステムによりアンロック。
      • 運転席ドアロックノブをアンロックした後,ドアロックコントロールスイッチ(マニュアル作動用)によりアンロック。

  7. シフト連動オートアンロック機能:A/T車(カスタマイズ機能対応:初期設定‘なし’)
    1. イグニッションスイッチ ONかつ車速約16km/h以下で,シフトポジションを「P」以外から「P」に操作すると,これに連動して全席ドアをアンロックします。
    2. シフト連動オートアンロック機能の初期設定は‘なし’です。カスタマイズ機能により,上記の機能を設定できます。

  8. 運転席ドア開連動オートアンロック機能(カスタマイズ機能対応:初期設定‘なし’)
    1. イグニッションスイッチ ON→OFF後,約10秒以内に運転席ドアを開けると,これに連動して全席ドアをアンロックします。
    2. 運転席ドア開連動オートアンロック機能の初期設定は‘なし’です。カスタマイズ機能により,上記の機能を設定できます。

電気式ドアロックシステム制御

  1. 作動
    1. マニュアルロック〈アンロック〉作動
      1. MPXマスタースイッチのドアロックコントロールスイッチ(マニュアル作動用)をロック〈アンロック〉側に操作すると,MPXマスタースイッチからドアロック〈アンロック〉要求信号が単方向多重通信でMPXボデーコンピューターに送信されます。これを受けてMPXボデーコンピューターは,Tr1〈Tr2〉をONするとともに,ロックリレー〈アンロックリレー〉をONします。このときアンロックリレー〈ロックリレー〉はアース回路を形成しており,したがって電流はDOOR→ロックリレー〈アンロックリレー〉→ACT+端子〈ACT−端子〉→ドアロックコントロールモーター→ACT−端子〈ACT+端子〉→アンロックリレー〈ロックリレー〉→アースと流れ,ドアロックコントロールモーターがロック〈アンロック〉側に回転し全席ドアをロック〈アンロック〉します。
    2. ドアキー連動ロック〈アンロック〉作動
      1. 運転席ドアキーシリンダーにキープレートを差し込みロック〈アンロック〉側に操作すると,ドアロックコントロールスイッチ(キー連動用)がロック〈アンロック〉側にONします。これにより,MPXマスタースイッチからドアロック〈アンロック〉要求信号が単方向多重通信でMPXボデーコンピューターに送信され,マニュアルロック〈アンロック〉作動と同様,全席ドアをロック〈アンロック〉します。
    3. キー閉じ込み防止作動
      1. キーアンロックウォーニングスイッチ ONおよび運転席ドアカーテシランプスイッチ ON状態がMPXボデーコンピューターに入力された状態で運転席ドアロックノブをロック側に操作すると,MPXマスタースイッチが運転席ポジションスイッチ OFF状態を検出します。この信号が単方向多重通信を介してMPXボデーコンピューターに送信されると,アンロックリレーをONし全席ドアをアンロックします。また,マニュアルロックおよびドアキー連動ロック操作を行った場合,いったん全席ドアのロック作動を行った後,同様の手順で全席ドアのアンロック作動をします。
    4. 車速感応オートロック作動
      1. MPXボデーコンピューターが,イグニッションスイッチ ONかついずれかのドアがアンロック(ドアロックポジションスイッチ ON)状態を検出中に,メーターコンピューターから約20km/h以上に相当する車速信号を双方向ボデー多重通信により受信すると,ロックリレーをONし,全席ドアをオートロックします。
      2. □ 参 考 □
        * : メーターコンピューターが車速を検知する経路は,A/T車とM/T車で異なります。詳細については,メーター & ゲージシステムを参照してください。(参照先 メーター & ゲージシステム−構造と作動

      3. MPXボデーコンピューターはオートロック作動後,約1秒間,各席ドアロック状態を入力し,いずれかのドアがアンロック(ドアロックポジションスイッチ ON)状態を検知した場合,再度オートロック作動を行います。
      4. オートロック作動停止条件
        • イグニッションスイッチ ON→OFF。
        • MPXボデーコンピューターが,メーターコンピューターから双方向ボデー多重通信により約16km/h以下の車速信号を受信。
    5. 衝撃感知ドアロック解除作動
      1. 作動概要
        1. MPXボデーコンピューターが衝撃検知情報をセンターエアバッグセンサーASSYから受け取ることにより,全席ドアをアンロック制御します。
      2. 作動
        1. イグニッションスイッチ ON時またはON→OFFから約4秒以内に,決められた値以上の衝撃が車両に加わると,センターエアバッグセンサーASSYが,各エアバッグセンサーでこれを検知し,衝撃検知信号を双方向ボデー多重通信でMPXボデーコンピューターへ送信します。
        2. MPXボデーコンピューターは,衝撃検知信号を受信すると,衝撃感知アンロック遅延時間(約10秒)経過後,アンロックリレーをONし,全席ドアをアンロックします。
        3. □ 参 考 □
          * : MPXボデーコンピューターは,アンロック作動後,約1秒間,各席ドアアンロック状態を入力し,いずれかのドアがロック(ドアロックポジションスイッチ OFF)状態を検知した場合,再度アンロック作動を行います。

        4. MPXボデーコンピューターは,イグニッションスイッチ ON後,約10秒間衝撃検知センサーの正常/異常判定を行います。異常時は,すべてのオートロック作動を禁止します。
      3. 作動終了後制御
        1. 上記アンロック作動終了後,MPXボデーコンピューターは,以下の制御を行います。
          1. 衝撃感知アンロック作動時のドアロック信号入力禁止
          2. アンロック作動終了後,MPXボデーコンピューターはすべてのドアロック信号の入力を禁止します。なお,下記の条件が成立した場合,ロック信号の入力を許可します。
            ロック信号入力許可条件
            • イグニッションスイッチ OFF→ONで車速約16km/h以下の状態から約20km/h以上が5秒以上継続。
            • ドアロックコントロールスイッチ(マニュアル作動用)により,ロック作動を行ったとき。
            • イグニッションスイッチ ON→OFFで,運転席ドアを‘開’→‘閉’(運転席ドアカーテシランプスイッチ ON→OFF)したとき。
    6. シフト連動オートアンロック作動
      1. イグニッションスイッチ ONかつ車速約16km/h以下で,エンジンコントロールコンピューターがニュートラルスタートスイッチからシフトポジション信号の「P」以外→「P」を受信すると,これを双方向ボデー多重通信でMPXボデーコンピューターに送信します。MPXボデーコンピューターはこれを受信すると,アンロックリレーをONし,全席ドアをオートアンロックします。
    7. ドア開連動アンロック作動
      1. イグニッションスイッチ ON→OFF後約10秒以内に,MPXボデーコンピューターが,運転席ドアカーテシランプスイッチ OFF→ON(‘閉’→‘開’状態)を入力すると,マニュアルアンロック作動と同様,アンロックリレーをONし全席ドアをアンロックします。