ラッシュアジャスター
●
小型油圧式ラッシュアジャスターを採用し,カムとロッカーアームの隙間(クリアランス)を常になくすことによりエンジンの静粛性を向上しました。
ラッシュアジャスターの構造
・
ラッシュアジャスターはロッカーアームのバルブと反対側の支点に配置され,シリンダーヘッドから供給されるオイルを作動油としています。ボデー内のプランジャーがプランジャースプリングの反発力や油圧の力で上下にスライドすることにより,クリアランスの調整をしています。
ラッシュアジャスターの作動
・
カムシャフトが時計回りに回転し,カムがロッカーアームを押すと(作用中),バルブとプランジャーの両方に荷重がかかります。この時プランジャーは押し込まれようとしますがチェックボールが閉じるため,プランジャーは停止します。そのため,プランジャーの上部を支点にしてロッカーアームが時計回りの方向に傾くことでバルブが押し下げられます。
・
カムが頂点を過ぎると,ロッカーアームはバルブスプリングの力により上がり始めますが,バルブスプリングのばね力はラッシュアジャスターにも作用しているため高圧室の油圧は保たれます。
・
バルブが閉じると(作用終了),高圧室のオイルは加圧状態から開放されます。このとき,バルブクリアランスが生じようとしますが,プランジャースプリングのばね力によって,プランジャーがロッカーアームを押し上げてバルブクリアランスを常時ゼロに保ちます。同時に高圧室は容積が大きくなるため,低圧室との圧力差が発生してチェックボールスプリングのばね力より大きくなると,チェックボールが下がり油路が確保されるため,オイルが低圧室から高圧室に流入して次の動作に備えます(待機状態)。