冷凍サイクル
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冷凍サイクルとは,冷媒をパイプ内に封じ込めてコンプレッサー・コンデンサー・エバポレーターなどの構成部品からなるサイクル内を循環させることをいい,冷媒がサイクル内を循環する過程において,気化→液化→気化という変化を繰り返し行うことで,車室内の熱を吸収したり車室外に放出したりして冷房を行います。
関連システム
作動原理(容量を大きくする必要が生じた場合の作動)
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熱負荷が大きくなった場合や加速制御などが終了し容量を大きくさせる場合,ベローズを縮ませてバルブを閉じるため,高圧圧力は遮断されます。これにより,クランク室の内圧は徐々に低くなり,最終的には斜板室の内圧=低圧圧力となります。このため,ピストンの左面にかかる圧力(低圧圧力)+スプリング力がピストンの右側にかかる圧力・シリンダーの内圧より低くなり,ピストンが左側に動かされて斜板の傾きを大きくします。この結果,ピストンストロークは大きくなります。(吐出容量大)
作動原理(容量を小さくする必要が生じた場合作動)
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熱負荷が小さくなった場合や加速時・高速運転時など容量を小さくさせる場合,ベローズが膨らんでバルブが開くため,高圧圧力がクランク室に導かれます。これにより,斜板室の内圧が高くなります。このため,ピストンの左側にかかる圧力(斜板室の内圧)+スプリング力がピストンの右側にかかる圧力より高くなり,ピストンが右側に動かされて斜板の傾きを小さくします。この結果ピストンストロークは小さくなります。(吐出容量小)
関連部品
コンプレッサー
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全車に6SBU16C型(外部制御式連続可変容量コンプレッサー)を採用しました。
外部制御式連続可変容量コンプレッサーの構造
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シャフトが回転するとシャフトに直結されているラグプレートを介して斜板が一体で回転します。この斜板の回転運動をシューを介してピストンのシリンダー内での往復運動に替え,冷媒の吸入・圧縮・吐出を行います。容量の可変制御は,斜板室内の内圧を低圧圧力~中間圧力に制御し,この圧力変化で斜板の傾き角度を変えてピストンストロークを変化させ,吐出容量を制御します。外部制御式連続可変容量コンプレッサーは制御弁への制御電流値を変えることで,制御する低圧圧力を無段階に変化させることにより吐出容量制御幅を広くし,快適性の向上および省動力化をはかっています。
流量制御弁
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従来の可変容量コンプッサーは,吸入圧力を検知し制御を行っていましたが,新たに採用の流量制御弁は吐出圧力の絞り前後の差圧を検知し制御を行います。これにより,従来の制御弁はトルクコントロールが困難でしたが,流量制御弁は差圧がトルク比例することでトルク推定制御を可能とし,コンプレッサーのトルクに合わせた最適なエンジン制御を行います。
ロックセンサー
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回転数をピックアップするロックセンサーを組み込みました。これにより,クランクシャフトプーリー回転数とコンプレッサープーリー回転数を比較し,所定のすべり率をオーバーするとマグネットクラッチをOFF制御します。
作動原理(容量を大きくする必要が生じた場合の作動)
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熱負荷が大きくなった場合や加速制御などが終了し容量を大きくさせる場合,ベローズを縮ませてバルブを閉じるため,高圧圧力は遮断されます。これにより,クランク室の内圧は徐々に低くなり,最終的には斜板室の内圧=低圧圧力となります。このため,ピストンの左面にかかる圧力(低圧圧力)+スプリング力がピストンの右側にかかる圧力・シリンダーの内圧より低くなり,ピストンが左側に動かされて斜板の傾きを大きくします。この結果,ピストンストロークは大きくなります。(吐出容量大)
作動原理(容量を小さくする必要が生じた場合作動)
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熱負荷が小さくなった場合や加速時・高速運転時など容量を小さくさせる場合,ベローズが膨らんでバルブが開くため,高圧圧力がクランク室に導かれます。これにより,斜板室の内圧が高くなります。このため,ピストンの左側にかかる圧力(斜板室の内圧)+スプリング力がピストンの右側にかかる圧力より高くなり,ピストンが右側に動かされて斜板の傾きを小さくします。この結果ピストンストロークは小さくなります。(吐出容量小)
フロントエアコンユニット・エアダクト
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薄型のエバポレーターおよびヒーターコアをユニット前後に配置したブロワーオフセットセンター置き一体型エアコンユニットを採用し,小型化をはかりました。また,ユニット内部の通風抵抗および空調時の風音の低減をはかるとともに,冷房時の局所的な冷えや暖房時の局所的な暖まりなどを少なくしたマルチ吹き出しを採用し,車室内全体が快適になるように配慮しました。
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冷暖房時(エアミックス制御時)における頭部への適度な温度調整を行うことができる,オート制御の冷風バイパスドアを採用しました。
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ブロワーモーターおよびブロワーモーターコントローラーを一体化したブラシレスモーターを採用し,省スペース化をはかることにより,助手席足元スペースにゆとりを持たせました。
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サブクールコンデンサーおよび薄型のRSエバポレーター(RS:Revolutionary Super Slim)を採用し,使用冷媒量を低減することにより,環境に配慮しました。
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フロントデフロスターの内壁形状を放射線状とした広角ハイフローデフロスターを採用することにより,デフロスター性能に優れたものとしました。
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リヤヒーターダクトおよびコンソールリヤフェイスレジスターを標準設定し,後席乗員に対する快適性の向上をはかりました。
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クリーンエアフィルターに花粉除去効率を向上させたタイプを採用し,全車に標準設定しました。
吹き出し口と風量割合
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各モードからは下記の風量で吹き出します。
ブラシレスモーター
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ブロワーモーターとブロワーモーターコントローラーを一体化し省スペース化をはかるとともに,ブラシを廃止することにより,接触部分を低減し低騒音化を可能としたブラシレスモーターを採用しました。
RSエバポレーター(RS:Revolutionary Super Slim)
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RSエバポレーターは,タンク・チューブ・クーリングフィンから構成されており,チューブは押し出し成形により微細流路を形成し,伝熱性能に優れたものにするとともに薄幅化(38mm)をはかっています。また,RSエバポレーターは,フィンの高さ・チューブの厚さ・フィンピッチの縮小による伝熱促進およびコア部材料の薄肉化をはかることにより,大幅な小型/軽量化を実現しました。なお,エバポレーター本体に,クリーンコート,異臭の原因となる雑菌の繁殖の抑制をはかるとともに,表面処理をクロムフリーとし環境にも配慮しています。
コンデンサー
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マルチフローコンデンサーと気液分離器(モジュレーター)を一体化し,サブクールサイクルとしたサブクールコンデンサーを採用することにより,熱交換効率の優れたものとしました。
サブクールコンデンサー構造
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サブクールサイクルは,一つのコンデンサーの中を凝縮部と過冷却部とに分けて,その間に気液分離器を配置することにより,一度気液分離した液冷媒を,さらに冷やすことで液冷媒自体のもつエネルギー(エンタルピ)を増大させ,冷房性能の効率化をはかっています。
サブクールサイクルの冷媒ガス充填
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レシーバーサイクルでは冷媒ガスの泡消え点が冷房能力安定域(棚)の入り口にありますが,サブクールサイクルでは泡消え点が冷房安定域(棚)の手前にあるため,適正充填量まで100g補充(適正冷媒充填量:430±50g)する必要があります。(泡消え点で冷媒ガスの補充をやめると冷房能力が不足気味になります)なお,オーバーチャージも燃費悪化や冷房能力不足となりますので適正冷媒ガス量の充填を実施してください。