DTC    P0171/25    リーン異常 (Bank1)

DTC    P0172/26    リッチ異常 (Bank1)

DTC    P0174/25    リーン異常(Bank2)

DTC    P0175/26    リッチ異常(Bank2)

準備品一覧


回路説明


  1. メインクウネンヒセンサ(触媒上流クウネンヒセンサ)による燃料補正量が一定値を超えたときに検出する。空燃比補正には、通常運転時空燃比補正(以下空燃比F/Bと記す)と運転状態記憶空燃比補正(以下空燃比F/B学習と記す)の2種類がある。空燃比F/Bとは、理論空燃比状態を維持するために用いられる空燃比補正で、エンジンコントロールコンピュータが、クウネンヒセンサからの信号を、現在の空燃比状態が理論空燃比に比べて濃い(以下リッチと記す)状態か、薄い(以下リーンと記す)状態かを信号として受けとることにより、リッチの場合には噴射量を減少、リーンの場合には噴射量を増加している。空燃比F/B学習とは、空燃比F/B値が長期間断続的に行われた場合、個々のエンジン差、(経年変化や使用環境の変化等により引き起こされる)に合わせて中心点が変化する。空燃比F/B値と空燃比F/B学習値が両方とも一定値を超えてリーンまたはリッチになると、エンジンコントロールコンピュータがチェックエンジンウォーニングランプを点灯させる。またガス欠をおこしたときは燃料補正量が+35%以上となり、(2トリップ)連続した場合はリーン異常、P0171/25、P0174/25が出力する場合がある。


DTCNo.
SAE/TCCS
DTC検出条件
1.診断条件 2.異常状態 3.異常期間 4.その他
点検部位
P0171/25
P0174/25
  1. エンジン暖機後、空燃比F/B正常実施中
  2. フューエルトリムが極端に増量側に補正(約+35%以上)
  3. 90秒以上
  4. 2トリップ
  1. 吸気系統
  2. 燃料系統
  3. フューエルインジェクタつまり
  4. ワイヤハーネスおよびコネクタ
  5. クウネンヒセンサ
  6. インテークエアフロメータS/A
  7. E.F.I.ウォータテンパラチャ
  8. インレットエアテンパラチャセンサ(インテークエアフロメータS/A)
  9. 排気系統ガス漏れ
  10. エンジンコントロールコンピュータ
P0172/26
P0175/26
  1. エンジン暖機後、空燃比F/B正常実施中
  2. フューエルトリムが極端に減量側に補正(約-35%以上)
  3. 90秒以上
  4. 2トリップ
  1. 吸気系統
  2. 燃料系統
  3. フューエルインジェクタつまり
  4. ワイヤハーネスおよびコネクタ
  5. クウネンヒセンサ
  6. インテークエアフロメータS/A
  7. E.F.I.ウォータテンパラチャ
  8. インレットエアテンパラチャセンサ(インテークエアフロメータS/A)
  9. 排気系統ガス漏れ
  10. エンジンコントロールコンピュータ

□ 参 考 □
  1. 空燃比F/B値と空燃比F/B学習値の合計が35%以内であれば、システムは正常と判断できる。
  2. バンク1は右側のバンク、バンク2は左側のバンク



回路図



A095474



点検手順


□ 参 考 □
SST(TaSCAN)を使用して、フリーズフレームデータを読み取る。フリーズフレームデータには、不具合発生時のエンジン稼動状態の一部を記録してあり、それらの情報がトラブルシュートを行う際に役立つ。


手順1エミッションコントロールシステム点検
  1. エンジンオイルレベルゲージ、オイルフィラキャップ、PCVホース等からのエアの吸い込みがないことを確認する。

  1. エアクリーナケース←→シリンダヘッド間の吸気管の接続部からのエアの吸い込みがないことを確認する。



NG
エミッションコントロールシステム修理または交換
OK


手順2フューエルインジェクタASSY点検
(要領は 参照)


NG
フューエルインジェクタASSY交換
OK


手順3E.F.I. ウォータテンパラチャ単体点検
SST
09082-00030  
09083-00150  


    A050330J03
  1. SST(トヨタエレクトリカルテスター)を使用して、端子間の抵抗を測定する。

基準値

水温
抵抗
約20°C時
2.32-2.59kΩ
約80°C時
0.310-0.326kΩ

■ 注 意 ■
センサを水中につけて点検を行う場合、ターミナル部に水が入らないように注意する。点検後、センサについた水滴を拭き取る。



NG
E.F.I. ウォータテンパラチャ交換
OK


手順4インテーク エアフローメータ S/A点検
SST
09082-00030  
09083-00150  


    A051950J01
  1. エアフロメータ吸入空気量点検

    1. DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。

    2. エンジン停止状態で、IG ON にする。

    3. SST(TaSCAN)の表示画面に従い、“ECUデータモニター”-“吸入空気量”を選択し、吸入空気量を読み取る。

      基準値
      0.44g/s未満

      □ 参 考 □
      排気管吸引は行わない。

  1. 吸気温センサ抵抗点検

    1. IG OFF にしてインテークエアフロメータS/Aコネクターを切り離す。

    2. SST(トヨタエレクトリカルテスター)を使用して、インテークエアフロメータS/Aの4(THA)←→5(E2)端子間の抵抗を測定する。

      基準値

      端子間
      抵抗
      温度
      THA←→E2
      13.6-18.4kΩ
      -20°C
      THA←→E2
      2.21-2.69kΩ
      20°C
      THA←→E2
      0.49-0.67kΩ
      60°C



NG
インテーク エアフローメータ S/A交換
OK


手順5イグニツシヨンシステム点検
(要領は 参照)


NG
イグニツシヨンシステム修理または交換
OK


手順6燃圧点検
(要領は 参照)


NG
フユーエルシステム修理または交換
OK


手順7排気ガス漏れ箇所点検


NG
排気ガス漏れ箇所修理または交換
OK


手順8TaSCANデータ読み取り(A/Fセンサ電圧B1S1、B2S1)
SST
09991-70200  
  1. DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。

  1. アクセルペダルを踏み込み2500rpmで90秒間保持し、クウネンヒセンサ(A/Fセンサ)を暖機する。

  1. SST(TaSCAN)を使用して、クウネンヒセンサ(A/Fセンサ)出力電圧が正常であることを確認する。

  1. シフトポジションを1速ギヤにシフトする。

  1. 60km/hまで加速し、アクセルペダルを離した時(減速時フューエルカットを行っている時)にクウネンヒセンサ(A/Fセンサ)の出力電圧が上昇することを確認する。

    1. クウネンヒセンサ(A/Fセンサ)が3.3Vで固定の時は、回路が断線している可能性がある。
    2. クウネンヒセンサ(A/Fセンサ)が3.8V以上または2.8V以下の時は、回路が短絡している可能性がある。
    3. エンジンコントロールコンピュータは減速時フューエルカットを行う。その時に空燃比はリーン状態になりクウネンヒセンサ(A/Fセンサ)の電圧は上昇する。
    4. エンジンコントロールコンピュータはフューエルカットするためのスロットルポジション全閉位置を学習する。バッテリターミナルをはずした場合、学習値がキャンセルされるので16km/h以上で走行し学習させる必要がある。
    5. エンジンコントロールコンピュータは加速時などで燃料の増量を行うため、クウネンヒセンサ(A/Fセンサ)の出力電圧が2.8V以下を出力する場合がある。

    6. クウネンヒセンサ(A/Fセンサ)は電流検出素子を使用しているため、エンジンコントロールコンピュータの端子電圧を測定しても電圧変化はない。TaSCANに表示されている電圧はクウネンヒセンサ(A/Fセンサ)が出力した電流を電圧に変換している。


      A083001



OK
手順 16 へ
NG


手順9クウネンヒ センサ単体点検
SST
09082-00030  
09083-00150  


    A094395
  1. センサヒータ抵抗

    1. SST(トヨタエレクトリカルテスター)を使用して、2(+B)←→1(HT)端子間の抵抗を測定する。

      基準値
      1.8-3.4Ω(常温)

  1. センサヒータ短絡点検

    1. SST(トヨタエレクトリカルテスター)を使用して、1(HT)←→4(AF-)端子間の短絡を点検する。

      基準
      導通なし



NG
クウネンヒ センサ交換
OK


手順10ワイヤハーネスまたはコネクター点検(クウネンヒセンサヒータ電源回路)
SST
09082-00030  
09083-00150  


    A095213
  1. クウネンヒセンサコネクタを切り離す。

  1. IG ONにする。

  1. SST(トヨタエレクトリカルテスター)を使用して、クウネンヒセンサの車両側コネクタの端子電圧を測定する。

    基準値


    取り付け部位
    測定端子(端子名)
    基準値
    B1S1、B2S1
    2(+B)←→ボデーアース
    9-14V



NG
電源回路点検
OK


手順11ワイヤハーネスまたはコネクタ点検(エンジンコントロールコンピユータ-クウネンヒセンサ)
SST
09082-00030  
09083-00150  


    A095236J01
  1. エンジンコントロールコンピュータのコネクタDを切り離す。

  1. クウネンヒセンサ(A/Fセンサ)のコネクタを切り離す。

  1. トヨタエレクトリカルテスターを使用して、エンジンコントロールコンピュータの車両側コネクタ←→クウネンヒセンサ(A/Fセンサ)の車両側コネクタ間の導通および短絡を点検する。(端子配列は参照)

    基準


    測定端子(端子名)
    エンジンコントロールコンピュータ←→クウネンヒセンサ(A/Fセンサ)
    基準
    D18(A1A+)←→3(AF+)
    導通があり他の端子間およびボデーアース間と短絡がないこと
    D17(A1A-)←→4(AF-)
    導通があり他の端子間およびボデーアース間と短絡がないこと
    D28(A2A+)←→3(AF+)
    導通があり他の端子間およびボデーアース間と短絡がないこと
    D27(A2A-)←→4(AF-)
    導通があり他の端子間およびボデーアース間と短絡がないこと



NG
ワイヤハーネスまたはコネクタ交換
OK


手順12クウネンヒ センサ交換

GO


手順13作動確認運転実施
SST
09991-70200  
  1. DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。

  1. IG ONにして、SST(TaSCAN)の画面表示に従いダイアグコードを消去する。(要領は参照)

  1. SST(TaSCAN)の画面表示に従ってノーマルモードからチェックモードにする。(要領は参照)

  1. すべてのアクセサリスイッチをOFFにし2分間アイドル回転状態にしておく。



  1. 車両を70-120km/h(エンジン回転数1400-3200rpm)で3-5分走行する。*1

    ■ 注 意 ■
    1. 確実にテストを行わないと不具合は確認出来ない。


    □ 参 考 □
    もし不具合があれば*1の最中でチェックエンジンウォーニングランプが点灯する。

    A083002


GO


手順14ダイアグコード読み取り
SST
09991-70200  
  1. DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。

  1. IG ONにして、SST(TaSCAN)の画面表示に従ってダイアグコードを読み取る。(要領は参照)

    1. DTC P0171/25、P0172/26、P0174/25、P0175/26が出力されるか確認する。

      検出結果


      A
      B
      P0171/25、P0172/26、P0174/25、P0175/26が再出力されない
      P0171/25、P0172/26、P0174/25、P0175/26が再出力される



B
エンジン コントロール コンピュータ交換
A


手順15過去に燃料切れでエンジン停止したことがあるか


NO
常時発生しない問題の点検
YES

過去の走行中に発生した燃料切れにより、ダイアグコードが記録された 

手順16作動確認運転実施
SST
09991-70200  
  1. DLC3にTaSCANを接続する。

  1. IG ONにして、SST(TaSCAN)の画面表示に従いダイアグコードを消去する。(要領は参照)

  1. SST(TaSCAN)の画面表示に従ってノーマルモードからチェックモードにする。(要領は参照)

  1. すべてのアクセサリスイッチをOFFにして、2分間アイドル回転状態にしておく。



  1. 車両を70-120km/h(エンジン回転数1400-3200rpm)で3-5分走行する。*1

    ■ 注 意 ■
    1. 確実にテストを行わないと不具合は確認出来ない。


    □ 参 考 □
    もし不具合があれば*1の最中でチェックエンジンウォーニングランプが点灯する。

    A083002


GO


手順17ダイアグコード読み取り
SST
09991-70200  
  1. DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。

  1. IG ONにして、SST(TaSCAN)の画面表示に従ってダイアグコードを読み取る。(要領は参照)

    1. DTC P0171/25、P0172/26P0172/26、P0174/25、P0175/26が出力されるか確認する。

      検出結果


      A
      B
      P0171/25、P0172/26、P0174/25、P0175/26が再出力されない
      P0171/25、P0172/26、P0174/25、P0175/26が再出力される



B
エンジン コントロール コンピュータ交換
A


手順18クウネンヒ センサ交換

GO


手順19作動確認運転実施
SST
09991-70200  
  1. DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。

  1. プッシュスタートスイッチON(IG)にして、SST(TaSCAN)の画面表示に従いダイアグコードを消去する。(要領は参照)

  1. SST(TaSCAN)の画面表示に従ってノーマルモードからチェックモードにする。(要領は参照)

  1. すべてのアクセサリスイッチをOFFにして、2分間アイドル回転状態にしておく。



  1. 車両を70-120km/h(エンジン回転数1400-3200rpm)で3-5分走行する。*1

    ■ 注 意 ■
    1. 確実にテストを行わないと不具合は確認出来ない。


    □ 参 考 □
    もし不具合があれば*1の最中でチェックエンジンウォーニングランプが点灯する。

    A083002


GO


手順20ダイアグコード読み取り
SST
09991-70200  
  1. DLC3にSST(TaSCAN)を接続する。

  1. IG ONにして、SST(TaSCAN)の画面表示に従ってダイアグコードを読み取る。(要領は参照)

    1. DTC P0171/25、P0172/26、P0174/25、P0175/26が出力されるか確認する。

      検出結果


      A
      B
      P0171/25、P0172/26、P0174/25、P0175/26が再出力されない
      P0171/25、P0172/26、P0174/25、P0175/26が再出力される



B
エンジン コントロール コンピュータ交換
A


手順21過去に燃料切れでエンジン停止したことがあるか
  1. 過去に燃料切れによるエンジン停止(ガス欠状態)をしたことがあるか確認する。



NO
常時発生しない問題の点検
YES

過去の走行中に発生した燃料切れにより、ダイアグコードが記録された